湯けむり湧き立つ鉄輪の一角に現れた、植物園型の作品。ヒノキとガラスで作られ、原子炉の形を模した植物園の内部には、地域や全国の方々から寄せられた植物が植えられています。
本作は2020年以降、アーティストが国内外で発表してきた体験型インスタレーション『元気炉』から派生しました。鉄輪は、さまざまな人を迎え入れ、自然の恵みによって心身ともに癒してきました。『植物元気炉』も、この場所を訪れる人々の心やポジティブなエネルギーを受け入れ、それを交流や物語を生むエネルギーとして還元しながら、いきいきと成長し続けます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
https://alternative-state.com/features/20240331_864/
1968年、長崎県出身。東西統合後間もない1993年よりドイツに滞在。その頃から「境界」をテーマに、ドローイング、インスタレーション、映像など多様なメディアを用いた作品を発表。現在は日本とインドネシアを往復しながら国際的に活動し、さまざまな展覧会に招聘されている。
2022年にドイツのカッセルで開催された『ドクメンタ15』(Cinema Caravan and Takashi Kuribayashi として参加) では、作品『out of the mosquito net (蚊帳の外)』を拠点に会期中にさまざまなイベントをおこなった。その際に発表した『元気炉四号基』が評価され、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
https://www.takashikuribayashi.com
私は今までにたくさんのプロジェクトを立ちあげ、制作、そして行動してきた。
そのなかに、
植物園のプロジェクトがあり、未だに実現したことがなかった。
植物園、
なんて素敵な響きだろう。
人々はなぜ、植物園に惹かれ、そして足を運ぶのか。
簡単な話である。
それは、みなさんの心のなかに、自分の小さな庭があるからである。
その庭は、みなさんが自分で耕し、水をあげ、育ててあげなければ、素敵な花も咲かせないし、緑豊かにもならない。
日にもあててあげないといけないし、声もかけてあげないといけない。
すべての人は、素敵な自分の庭を心のなかに持っているのである。
だから人は植物園に心を踊らされるのだ。
その自分のなかの庭から、何か1つだけ植物を持って来てもらい、多くの仲間たちや、まだ出会っていない人たち、これから出会う人たちと、素敵な植物園を作りあげていく。
私は『植物元気炉』という箱を作るだけなのである。
それはすべての人たちの庭から、植物たちを、心の庭からは、水やりや、思いやり、気遣いなど、素敵でポジティブなエネルギーを持ち寄ってもらうことで稼働する、
不思議で素敵な植物園なのである。
今回、大谷公園の隅にできあがる不思議な形をした植物園は、
みなさんと、みなさんの心と共に育ち、訪れた人たちを元気にする、
素敵で新しい空間なのである。
栗林 隆
別府市制100周年記念事業
(2024年3月31日時点)
※掲載情報は予告なく変更になる可能性がございます