これは別府市中心市街地にゆかりのある3名へのインタビューの断片を再編した新たな別府の物語です。 まるで青い鳥を探すように、日常に散りばめられたささやかな作品に導かれ、さまざまな時代・視点・人生を行き交ううちに、いつしかあなただけの物語へとたどりつくかもしれません。
本作は別府市中心市街地を会場とした巡回型インスタレーションです。
マップ上の推奨ルートに従って番号順に鑑賞するのがおすすめです。
マップ:https://alternative-state.com/uploads/2024/AS5-map.pdf
1976年茨城生まれ。美術家。武蔵野美術大学大学院造形研究科博士後期課程満期単位取得退学。現在、茨城県水戸市を拠点に活動。言葉やイメージといった共通認識の中に生じるズレをテーマに自然体でゆるやかな手法を使って、看板をモチーフとした作品をはじめ、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、形式を特定せず制作を展開している。2006年末より「Nadegata Instant Party」を結成し、ユニットとしても活動。2007年末より「遊戯室 (中﨑 透+遠藤水城)」を設立し、運営に携わる (~2021年)。2011年より「プロジェクトFUKUSHIMA!」に参加、主に美術部門のディレクションを担当。近年の主な展覧会に『越後妻有 大地の芸術祭 2022』(新潟、2022年)、個展『FICTION TRAVELER』水戸芸術館現代美術ギャラリー (茨城、2022年) など。『Art Fair Beppu』参加 (別府、2023・2024年)。2023年、芸術選奨新人賞受賞。
僕が最初に別府という街に滞在制作に来たのは、
『混浴温泉世界』という芸術祭が始まる前の年でした。
商店街の中で暮らした1ヶ月は、
起きたらお湯に入り、暑くて眠くなると温泉に入り、
仕事終わりに一風呂浴びる、みたいな毎日を過ごしました。
昔から観光客が多いためなのか、
近所の方々は人懐っこく、でも程よく無関心で、
なんだか他所者には随分居心地がよくて、
以来15年ほど、何かと理由をつけては別府を訪れてきました。
今回は昔からの別府の風景を知る3人の話を聞く機会がありました。
少し見知った街な気分だったのが、
知らない場所へと、グッと奥まで引き込まれるような感覚になりました。
初めてこの街に来て、路地裏に迷い込んでしまい、
ちょっとわくわくしながら散策したときのことを思い出しました。
僕は昔から看板をモチーフにした作品を作っています。
別府の街に溶けて、一見すると作品かどうかもわからないようなもの、
そんなものが何食わぬ顔をして街に点在していて、
地図を片手にあなたは路地をうろうろするかもしれません。
その姿は、深い森のなかで青い鳥を探すあの子たちの姿と重なるかもしれません。
途中で気になる路地を見つけて道を外れてもいいし、
温泉に入ったり、公園でのんびりしたり、おいしいものを食べたり、
すっかり作品を観るのを忘れてしまうのもいいかもしれません。
案外、そんなときに青い鳥に出会ったりするのだから。
中﨑 透
『ベップ・アート・マンス 2024』参加プログラム
別府市制100周年記念事業
(2024年9月20日時点)
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