ALTERNATIVE-STTE

ARTIST COMMENT

僕が最初に別府という街に滞在制作に来たのは、
『混浴温泉世界』という芸術祭が始まる前の年でした。
商店街の中で暮らした1ヶ月は、
起きたらお湯に入り、暑くて眠くなると温泉に入り、
仕事終わりに一風呂浴びる、みたいな毎日を過ごしました。
昔から観光客が多いためなのか、
近所の方々は人懐っこく、でも程よく無関心で、
なんだか他所者には随分居心地がよくて、
以来15年ほど、何かと理由をつけては別府を訪れてきました。

今回は昔からの別府の風景を知る3人の話を聞く機会がありました。
少し見知った街な気分だったのが、
知らない場所へと、グッと奥まで引き込まれるような感覚になりました。
初めてこの街に来て、路地裏に迷い込んでしまい、
ちょっとわくわくしながら散策したときのことを思い出しました。

僕は昔から看板をモチーフにした作品を作っています。
別府の街に溶けて、一見すると作品かどうかもわからないようなもの、
そんなものが何食わぬ顔をして街に点在していて、
地図を片手にあなたは路地をうろうろするかもしれません。
その姿は、深い森のなかで青い鳥を探すあの子たちの姿と重なるかもしれません。
途中で気になる路地を見つけて道を外れてもいいし、
温泉に入ったり、公園でのんびりしたり、おいしいものを食べたり、
すっかり作品を観るのを忘れてしまうのもいいかもしれません。
案外、そんなときに青い鳥に出会ったりするのだから。

中﨑 透