『ウォータータワー』はトム・フルーインの代表的なシリーズです。その10作目となる本作は、その名の通り給水塔をモチーフにしていますが、ここ別府においては温泉水を貯蔵するタンクのようにも見えます。色とりどりのステンドグラスのような部分には大分県内で集めたアクリルが再利用されており、なかには感染症対策に用いられた透明のパネルや、どこかのお店の個性的な看板もあります。捨てられてしまうはずだった素材が美しい作品に生まれ変わり、この街の持続可能で豊かな未来をあざやかに照らします。
米国ロサンゼルス生まれ、現在はニューヨークのブルックリンにて活動する現代彫刻家。1996年カリフォルニア大学サンタバーバラ校卒業。
フルーインは、色彩豊かなアクリル板や鉄を使い、その地域に固有の建築物を参照した彫刻を制作します。その作品は一般の人にも親しみやすく、かつしばしば再生素材や代替エネルギーを利用しておりサステナブルであるという特徴があります。代表作『ウォータータワー』シリーズは、ニューヨークをはじめ米国各地の公共空間や屋上に設置されています。そのほかにもプラハ (チェコ)、ウィーン (オーストリア)、コペンハーゲン (デンマーク)、韓国など世界各地での展示実績があります。
別府市のみなさん、こんにちは! みなさんの暮らす別府市は、我々が生きていくうえで不可欠な、あるものを大事にしています。そう、水です! この彫刻はいわば、人類の営みを持続するための生命線である水を台座に載せることで、水への感謝を象徴した作品です。母なる自然からの贈り物を大事にしようという意思を込め、環境に敬意を表し守るため、そして、身の周りにあるものの美しさに目を向けるために、この作品は、廃材を集めて制作しました。
別府において「水」は特別な存在です。生きるために必要な物質という以上の意味を持っています。地中深くからやってくる別府の温泉水は、我々の心を癒し、身体に活気を与えてくれます。別府では、誰もがそれを特別なものと考え、深く敬っています。だからこそ健康と活力を求める人々が世界中から別府を訪れるのです。
この作品は人類と自然の連帯の証として海岸沿いの公共空間に設置され、この土地の地形と我々との間のつながりをいっそう際立たせるはずです。日の光が当たれば、この彫刻はあたかも万華鏡のように、あたりを色とりどりに彩ります。そして夜には彫刻自体が光を放ち、別府の街を照らす生命力あふれる灯台となるでしょう。
トム・フルーイン
『ベップ・アート・マンス 2023』参加プログラム
別府市制100周年記念事業
(2023年9月22日時点)
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