ALTERNATIVE-STATE #8
ALTERNATIVE-STATE #8

Les Anges de Beppu

別府の天使

SARKIS / サルキス

虹色の有機的な光の線によって象られた天使の両翼が、JR別府駅からほど近いホテルの屋上看板に設置されています。
夜間のみ姿を現すその作品は、8秒ごとにやわらかに明滅を繰り返しますが、これはアーティスト自身の呼吸のリズムをもとにした間隔です。命を吹き込まれたかのようにさえ見えるこの天使は、今後長い間、この地に住む者や訪れる者、全ての人を祝福する存在となるでしょう。

設置場所
アマネクイン別府 屋上看板
(大分県別府市駅前本町6-28)
鑑賞時間
日没〜23:00
SARKIS/サルキス

SARKIS
サルキス

1938年イスタンブール (トルコ) 生まれ、1964年よりパリ (フランス) 在住。のちに20世紀美術のあり方を決定づけたと言われる伝説的な展覧会『態度が形になるとき』(1969年、クンストハレ・べルン) や、国際的な美術展であるドクメンタ6、ドクメンタ7 (1977年/82年、ともにカッセル、ドイツ) 、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ (2015年、ヴェネチア、イタリア/アルメニア館代表として金獅子賞を受賞) などへの参加をはじめ、世界各国で多くの展覧会に参加。開催された個展は100回を超える巨匠です。

https://www.sarkis.fr

PROFILE

1938年、トルコのイスタンブールに生まれたサルキスは、1964年からパリに在住し、制作活動をおこなっている。

フランス語、絵画、インテリアデザインを学んだのち、1964年にパリに移住。1967年、パリ・ビエンナーレ絵画賞を受賞。同年、サルキスが現代において最重要だと位置付けるドイツ人アーティストであるヨーゼフ・ボイスへのオマージュを込めた『Connaissez-vous Joseph Beuys ?』をサロン・ド・メにて展示。1969年には、美術評論家ハラルド・ゼーマンに招かれ、クンストハレ・ベルンで開催された歴史に名を残す展覧会『態度が形になるとき』に参加。また、知識の伝達を重視する彼は、1980年から1990年までストラスブール装飾美術学校の美術科の責任者を務め、1988年から1995年までポントゥス・フルテンが設立した造形芸術高等研究所 (IHEAP) でセミナーディレクターを務めた。

彼の作品はこれまでにポンピドゥー・センター (フランス)、グッゲンハイム美術館 (アメリカ)、イスタンブール現代美術館 (トルコ)、パリ市立近代美術館 (フランス)、ドイツ連邦共和国美術展示館 (ドイツ)、ルーヴル美術館 (フランス)、ボーデ博物館 (ドイツ)、クンストハレ・ベルン (スイス)、デュッセルドルフ美術館 (ドイツ) などの国際的に権威のある施設で展示された。また、ドクメンタ6・7 (ドイツ) や、ヴェネチア (イタリア)、シドニー (オーストラリア)、上海 (中国)、サンパウロ (ブラジル)、モスクワ (ロシア)、イスタンブール (トルコ) で開催されたビエンナーレなど、主要な芸術祭でも作品が紹介された。2015年の第56回ヴェネチア・ビエンナーレでは、アルメニア館で開催された展覧会にトルコ代表として参加し、金獅子賞を受賞した。

撮影:久保貴史/©︎別府現代芸術フェスティバル2009実行委員会
Photo: Takashi Kubo ©︎Beppu Contemporary Art Festival 2009 Committee

フランスで開催された主な個展に、2019年ヴィジタシオン教会 (トノン・レ・バン)、2018年フェカン漁業美術館とジャコバン修道院 (トゥールーズ)、2016年プティ・パレ (パリ)、2015年~2014年ヴュルテンベルク公爵の城博物館 (モンベリアール)、2012年アンジェ城、2011年ショーモン=シュル=ロワール城、2010年・1993年・1979年ポンピドゥー・センター (パリ)、2007年ブールデル美術館、ルーヴル美術館、ラ・メゾン・ルージュ (いずれもパリ)、2003年ピカソ美術館 (パリ)、2002年リヨン現代美術館、セレ近代美術館、エコール・デ・ボザール (パリ)、2000年・1976年ボルドー現代美術館、1998年・1988年ストラスブール近現代美術館、1997年ナント美術館、1991年国立現代美術センター・グルノーブル、1986年国立装飾美術学校 (リモージュ)、1985年ヴィルアルバンヌ新美術館、1984年パリ市立近代美術館、1974年サン=テティエンヌ芸術・産業博物館 (ロワール)、1973年ガリエラ美術館 (パリ)、1970年パリ市立近代美術館 (クリスチャン・ボルタンスキーと共同開催) ほか多数。

2010年にポンピドゥー・センターで開催された展覧会『Passages』では、カジミール・マレーヴィチの作品、アンドレ・ブルトンのスタジオの壁、そしてサルキスの敬愛する人物の1人であるヨーゼフ・ボイスの作品『Plight』と対話するように作品を展示し、映画監督のアンドレイ・タルコフスキーとともに、コンスタンティン・ブランクーシのスタジオを再訪した。

At the Other End of the Rainbow, Bucarest, 2014 Photo: SARKIS ©Adagp, Paris, 2022

これらの作品は、さまざまな文明の美術品や民族詩学的なオブジェなどのファウンド・オブジェクト (ある目的のもとに価値を見出されたもの) で構成されている。2011年、ジュネーヴ近現代美術館 (スイス) で『ホテル・サルキス』と題した大規模な回顧展が開催された。4フロアにおよぶこの展覧会は、1971年から2011年までの作品200点が集まったアーティストの幅広い活動を概観できるものであったとともに、他のクリエイターに多大な影響を与えた 。2012年にはロッテルダム (オランダ) のボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館の招待を受け、広さ5000平米のサブマリンワーフで『Ballads』を展示。同年、ショーモン=シュル=ロワール城 (中部地域の依頼による) やパレ・ド・トーキョー (フランス) の『La Triennale, Intense Proximité』でも紹介された。2013年には、第55回ヴェネチア・ビエンナーレにあわせてプラダ財団にて再現された『態度が形になるとき ベルン1969/ヴェネチア2013』に参加した。また、アンジェ城で『Passages Croisés en or』を発表したほか、タスマニアのMONA (ミュージアム・オブ・オールド・アンド・ニュー・アート) に招待され『Frise de Guerre』を展示。また、欧州文化首都を契機としたプロヴァンス地方マルセイユでの『Ici, Ailleurs』や、イスタンブール現代美術館での『Modernity? Perspectives from France and Turkey』にも参加した。2014年、アムステルダム (オランダ) のハイス・マルセイユ写真美術館で展示。ブカレスト (ルーマニア) の国際現代アートセンター (CIAC)、国立現代美術館、国立農民博物館で作品が紹介されると同時に、ヴュルテンベルク公爵の城博物館では個展が開催された。2015年、ヴェネチア・ビエンナーレにトルコ代表として参加した際、アルメニア館の『Armenity』に参加し、金獅子賞を受賞した。ブリュッセル (ベルギー) のボゴシアン財団での個展や、ローマのイタリア国立21世紀美術館 (MAXXI) でも展示をおこなった。2016年には、グラン・パレ (フランス)、シンガポール国立博物館、トゥルコワン (フランス) のウジェーヌ・ルロワ美術館、バルセロナ (スペイン) のカイシャ・フォーラムで作品が紹介され、2017年にはワルシャワ (ポーランド) のザヘンタ国立美術館で個展を開催した。2018年夏には、フェカン漁業美術館のリニューアルオープンに招聘された。2019年には、ヴィジタシオン教会現代アートスペースで個展を開催した。

Les Vitraux mobiles de Sarkis, Paris, 2019 Photo: SARKIS ©Adagp, Paris, 2022

サルキスの作品は、フランス国外ではボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館、ジュネーヴ近現代美術館、セラルヴェス現代美術館 (ポルトガル) 、イスタンブール現代美術館、カールスルーエ・アート・アンド・メディア・センター (ZKM、ドイツ) などに所蔵されている。フランス国内では、ポンピドゥー・センター、パリ市立近代美術館、ヴュルテンベルク公爵の城博物館、サン=テティエンヌ近現代美術館、ストラスブール市立歴史博物館、ボルドー現代美術館、リヨン現代美術館、ヴァル・ド・マルヌ現代美術館、ナント美術館、リール・メトロポール現代美術館 (LAM)、ショーモン=シュル=ロワール城、IACなどの国際的に有名な美術館に所蔵されているほか、ロワール、ポワトゥー=シャラント、ブルターニュ、アルザス、オーヴェルニュ、ロレーヌ、アキテーヌ、フランシュ=コンテ、ラングドック=ルシヨン、ノール=パ=ド=カレー、イル=ド=フランスの現代美術地域基金 (FRAC)、CNAP、セーヌ=サン=ドニ県の部門別コレクションなど、多数所蔵されている。

2011年からは、パリとブリュッセルのギャラリー『Galerie Nathalie Obadia』の代表を務めている。

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ARTIST COMMENT

別府のみなさんへ

2009年からずっと、私は別府と繋がっています。なぜなら、“別府のエンジェル” たちが私とコンタクトを取り続けてくれているからです。彼らは毎年、年末に私と妻に、贈り物でいっぱいになった大きな荷物を送ってくれました。美しい手拭いやいろんな種類のお茶、手づくりの木製のオブジェ。それらとともに、1人ひとりからのメッセージも添えられています。それはまるで家族に向けられたものであるかのように、親愛と情緒にあふれた愛おしい言葉で綴られていました。私たちもそれに応えるように、彼らにお返しの贈り物を送り続けています。
この友情は13年間続いています。そして、これからもずっと、とても長く続いていくと信じています。数ヶ月前のある日、ジュンヤから別府のために “天使” をテーマに作品を作ってくれないか、と依頼がありました。私はとても感激し、喜んで承諾しました。“天使” は、夜の訪れとともに私たちの前に姿を現します。虹色に輝く翼をはばたかせ、別府の全ての人々のために、風を送り続けるでしょう。

私はこのプロジェクトに携わることを誇りに思います。「これからは私も別府市民の1人なんだ」と感じるほどにです。ジュンヤと彼の素晴らしい仲間たち、そして13年間ずっと繋がってくれていた “別府のエンジェル” たち、このプロジェクトに協力してくださる全ての方々に、心を込めてお礼を伝えます。 みなさん、ありがとう。

サルキス

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OUTLINE
概要

[ALTERNATIVE-STATE #8]
Les Anges de Beppu

作品名
別府の天使 (Les Anges de Beppu)
アーティスト
サルキス
設置場所
アマネクイン別府 屋上看板 (大分県別府市駅前本町6-28)
公開
2022年10月
鑑賞時間
日没〜23:00
料金
無料
主催
混浴温泉世界実行委員会
ディレクター
山出淳也 (Yamaide Art Office 株式会社 代表取締役)

『ベップ・アート・マンス 2022』参加プログラム
別府市制100周年記念事業

※掲載情報は予告なく変更になる可能性がございます

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